『グリーン・ナイト』(The Green Knight)と不自然主人公(その4)
歴史的に見れば、ブリトン人(ケルト系)は、アングロサクソン人のブリテン島への侵入によって劣勢になる(複数のアングロサクソン王国が生まれる)のですから、アーサー王伝説によって、ブリトン人の勇猛果敢さや優位さを称えたところで、歴史がどうなるものでもありません。
しかし、実在したかどうか不明な王国(キャメロット)や騎士たちは、歴史の中に消えてしまったからこそ、今も輝きを放ってるのかもしれません。
以下は付記のようなもので。
・緑の腰帯
14世紀の『ガウェイン卿と緑の騎士』では、城主の妻から「身に着けていれば、殺されることはない」と言われたため、緑の腰帯を受け取ってしまう(城主には渡さず)。
『グリーン・ナイト』では、ガウェイン母がガウェインに「身に着けている限り、危害を受けない」と言って緑の腰帯を渡す。また、城主の妻は、自分の手作りの緑の腰帯を渡して誘惑する(ガウェインは城主に腰帯を渡さない)。
・時期
原作は、クリスマスの宴ではなく、新年の宴に緑の騎士が現れる。ガウェインはクリスマス・イブに城にたどり着いて滞在する。
・『バリー・リンドン』
ガウェインが追いはぎに遭うシーンは、『バリー・リンドン』の影響とのこと。
『バリー・リンドン』(Barry Lyndon 1975年。 監督:スタンリー・キューブリック、原作:ウィリアム・サッカレー)では、アイルランド生まれのレドモンド・バリーがダブリンに行く途中で追いはぎに遭い、金を失う。
・「緑の日」
緑ーといって思いつくのは、「聖パトリックの祝日(St. Patrick's Day) 」で有名な聖パトリック(パトリキウス)。ウェールズ生まれだが、アイルランドで布教した人で、活躍した時期が5世紀。さすがに”緑の騎士”とは無関係だろう。
・after-credits scene
エンドロールが終わるまでスクリーンを見続けなくては、少女と王冠は見られない。